頭部の前方回転を防ぐ、全く新しいエアバッグを開発せよ!

一見するとどれも、見た目は似ているエアバッグ。しかし実際は、日々集まってくる自動車事故や試験のデータを基に、新テーマを掲げる開発が常に進行しています。私が今でも覚えているのは、入社3年目で担当した、脳の後遺症を回避する運転席用エアバッグのプロジェクトです。起点となったのは、事故発生時に頭部が前後屈方向に回転すると、脳傷害を引き起こしやすくなるという事実。頭部の回転を防ぐエアバッグをつくるため、ゼロからアイデアを出す必要がありました。

従来のエアバッグは、2枚の布をつないだどら焼きのような形をしたもの。これが胸のあたりから飛び出し、乗員の胸と顎を拘束すると人の頭は前方向に回転してしまう。そこで考案したのが、胸のあたりから頭頂部まで全体を平面的に支える、エアバッグ。3枚の布をつなぎ合わせた、メガホンのような形が誕生しました。もちろん、エアバッグだけが開発できれば解決ではありません。収納する部材や製品の折りたたみ方もゼロから検討し、熱をかけて圧縮する製造技術も新たに開発しました。